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続・羅生門なのさー。

2008年06月25日 01:01

CCF20080625_00000.jpg

作・芥川龍之介の、「羅生門」のイメージ絵。

いやはや、昨日は簡易的な読書感想文を書いたのですが、今回は、これまたプリントにあった「羅生門の続きを考えてみよう!」とやらという問題に答えたやつを載せたくなったので、やってみます。





下人の行方は、だれも知らない。             (作・芥川龍之介「羅生門」の最後の一文を抜粋)



 あれから下人は―――――
 下人は、盗人となり、生きることだけに執着し生きていた。しかし無理もないのだ。下人の生きる道、選んだ道は共に同じく、共に一つしかなかったのだから。しかし、その日々も長く続くわけでもない。かつては羅生門の上で検非違使の庁の役人のような、堅固たる態度をとっていた男も、皮肉にも今はその役人に追われる羽目になっているのである、もはや下人は、利く口も、行動も、自分自身すらも、世の中に渦巻く悪の条理を、利用しているのか、利用されているのかも分からないのであった。
 雨の日の暮れ方、下人は役人に追われた末に、いつの間にか、羅生門の近くにたどり着いたのであった。
 「何を考えているんだ、役人どもは。こうでもしなければ、おれは生きていけないというのに。」
 役人から何とか逃げ切った下人は、手と膝をつき、ゼェゼェと息を荒くしながら呟いた。あの時と同じく、雨が降り続けている。しかし、下人はあの時とは何もかも違っていた。まともな食など取れることもない生活で、下人はまるで老婆のように痩せこけているのだ。野草をも喰らい、物を盗んで逃げるこの下人は、一体、狐狸と何処が異なるのであろうか。
 そんな下人は、その時寒気を感じたのであった。晩秋も終わり、京都は以前より一層寒さを増しているのである。しかたなく下人は羅生門のはしごを登って羅生門の楼の上へ行き、そこで一夜を明かそうということにした。一足一足、はしごに足を掛けるたびに、あの時の記憶が蘇ってくるのが分かった。松の木切れに火を点けた物で、中の様子を探る。
 すると、人らしき物体が、じっと動かずにいるではないか。声を掛けてみても、返事は全くない。下人は恐る恐る火を近づけ、その物体の顔らしき部分を照らした。すると下人は、はっとした。それは……あの老婆、ではないか。面影は辛うじて残っており、その髪や骨格やらで、大体そうかとは思えた。が、死人の着ていた服を掻き集め、まるでそれに縋り付くようにして死んでいるその姿を見ると、下人にはあたかもすべてを見通したような感覚が湧き起こったのだ。
 「あの後、ここで凍え死んだのだな。」
 下人は呟く。その時下人は少し空しそうな目をしていたものの、あることを思いつき、その目は欲望に溺れて捻じれ切ったにやけに変わった。
 「そうだ。この老婆の髪を抜き、かつらにして金にしよう。この老婆自身がやっていたんだ。老婆も許してくれるだろう。」
 そして、そのひらめきは下人の持つ他のものも再び目覚めさせた。
 「悪に対する悪、生きるための悪、それらはしかたがないのだから。」
 そう、思い出したように言うと、下人は後ろに人の気配を感じた。とっさに下人は振り向く。するとそこには、あの時の下人のような体つきの男が、下人をあざけり笑ってた。そして、下人の言葉を聞いていたその男は言った。
 「きっと、そうか。」






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